逢瀬

「いったい、どういうシステムなんだろうね」そんなことを彼女は真顔で言うものだから、私は思わず笑ってしまった。この子の世界は随分平和になったものだな、と思った。

 

彼女が、私の紹介で付き合い出した彼と一緒に暮らし始めるまで、大した時間は要さなかった。二人暮らしはどうなのかとからかうように尋ねると、彼女はヘラヘラしながら平和であると答えた。

そりゃ、喧嘩もするけどね。想像していたよりもずっと順調だよ。あ、そうそう、自分でもビックリするんだけどさ、たまに考え込んだりする訳ですよ。本当にこの人でいいのかな?というか、彼は本当に私でいいのかな?ってことを。お互いもっといい人いるんじゃないかとか、彼は結婚願望があるんだから別れるなら早い方がいいとかさ。でも、でもですよ。帰ってご飯作ってるところに彼が帰ってきて、ただいま〜疲れた〜って言ってる顔見ると、あぁ、この人じゃないと駄目だな〜って思うの。だって論拠もなしに、顔見ただけでこの人だなって思うんだよ。いったいどういうシステムなんだろうね。凄くない?凄いよね。同棲発明した人凄いよね。世の人はこのために同棲してるのか!って思ったもん。

一通りそのような話を聞いて、笑いながら相槌をうつ。世の人が皆、同棲したからといって毎日そんな気持ちになっていないことは私でもわかるけれど、何より幸せそうな彼女を見てとても嬉しかった。失踪できなくなっちゃったな〜と笑いながら言う彼女を見て泣きそうになったし、私は、嬉しかった。

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